ホーム / ファンタジー / 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ! / 第三話 魔導剣士ロイ、パーティを結成する ―前編―

共有

第三話 魔導剣士ロイ、パーティを結成する ―前編―

last update 公開日: 2026-07-22 15:56:20

「ふあああぁぁぁ……」

 翌朝大あくびをかましながら、俺たちは女将さんに教えてもらった、街の中央にある大きな商館隣の告知所へ向かい、依頼の内容が書かれた紙 (通称『依頼票』)の貼られた掲示板の前にいる。俺みたいな冒険者たちは、ここで依頼を手にする。

 サンの方は、久々にいい食事と寝床にありつけたからか、スッキリ爽やかって感じの、好対象な顔をしていやがる。

 当然ここには、都市中の冒険者が集まってくる。都市中の冒険者といっても、その数は百と少しというところ。まあ、俺らみたいのが千人ぐらいいたら、色んな意味で一大事だわな。俺たち冒険者以外には、見張りの衛兵が二人いるだけだ。

 その昔、冒険者同士でギルドを作ろうなんて動きもあったらしいが、何ぶん自由人の集まりなのでうまくいかず、空中分解してしまったらしい。

「兄貴、どんな依頼取るんスか?」

「いや、まずはパーティーを組むのが先だ。剣と攻撃魔法は俺が使えるから、盾役と治癒魔法の使い手が欲しいところだな」

 そう言って告知所を見回すと、いかにも盾役ですと言わんばかりの、重装戦士ヘビー・アームが目に止まった。

 フルフェイスの兜を被り、体にはガチガチのフルプレートメイル。大盾に長槍、腰には予備武器の小剣、上背も百七十センチをちょっと下回るかぐらいでなかなかと、いかにもこいつは漢! って感じだ。

 しかもしめたことに、パーティーに所属していることを示す、徽章《きしょう》を着けていない。つまりフリーだ!

「なあ、そこのフルプレートと長槍のあんた! 俺たちと、パーティー組まないか!?」

 右親指で自分を指し示し、アピールする。

「ボクですか? よかった、ボクも入れそうなパーティー、探してたんです!」

 返ってきたのは、鈴の音のような可愛い声。異界風に言うと萌え声だった。内股で愛らしいポーズまで取っている。

「……あんた、女?」

「あ、はい。こんな格好だから、よく間違われますけど……」

 なんてこった! 俺の漢パーティーがあああああ!

 じゃあ別の人に改めて声をかけたらいいだろうと思うだろうが、実はそうもいかない事情があるのだ。

 冒険者の間では、よほどのことがなければ声をかけた側が、「やっぱりなし」などと言ってはいけないという、しきたりがある。なぜならば、それは自分の人の見る目のなさを、露呈するようなものだからだ。

 それをやったが最後、この業界では、一生白眼視されることになる。同様に、一度仲間にしたら死に別れでもしない限り、仲間を外すことも許されない。かなりシビアかつ、特殊な世界である。

「ロイ・ホーネットデス……ヨロシクオネガイシマス……」

「パトリシア・サンキストです。気軽に、パティって呼んでください」

「オレ、サン・ホーネット! よろしく、パティ姉ねえ!」

 半分魂が抜けながら握手を交わし、新たな仲間を加えることになりましたとさ。

 気を取り直そう。次は治癒術師だ。神官クレリックとか薬師ハーバリストとか、そういう感じのがいないかと再び当たりを見回す。

 やはり治癒術師は競争率が高いのか、これは! と思うやつを見つけても、もれなくパーティー徽章きしょうをつけている。それでも目を皿のようにして見回していると、いた! いかにもって感じの僧衣を着た……女が。

 また女か。俺は、漢パーティーを組めない運命にあるのか。だが、治癒術師抜きでの冒険は、どう考えても自殺行為だ。ここは、選り好みしている場合ではないのかもしれない。

「ねーちゃん、ねーちゃん! オレたちのパーティーに入らねえ?」

 ってオイ、サァァァァァン! 何、勝手に声かけちゃってくれてんのォッ!? ああいけない、ここで俺がNOと言ったら、サンのメンツを潰すことになる。これも運命か……。こんなしょーもないことで、運命を感じるとはなぁ……。

「有り難いお申し出、感謝いたします。私わたくしは、フランシスカ・セルティス。フランとお呼びくださいませ」

 おお、お上品なお嬢さんだこと。容姿を改めて見ると、身長は百五十五センチほどで、白基調の僧衣にゆるいウェーブのかかったブロンドのロングヘア。

 鎚鉾メイスと聖印の刻まれた小盾に、ブレストプレートという出で立ち。コテコテの神官姿だ。歳のほどは、俺と同じぐらいだろうか。この世界の女性が皆そうであるように、バストは慎ましやか。

 いや、いかん俺! どこに注目している! 硬派硬派!

「俺はロイ・ホーネット。こいつが義妹いもうとのサンで、こっちがパティ。今後ともよろしく」

 まあ、こうなっては是非もない。フランとも握手を交わし、ここにパーティーが成立した次第である。

「さて、なにか適当な依頼を選んで、余裕がありそうなら徽章きしょうを作って、結成式でもやるか。……ゾンビ退治か。急ぎの依頼ではないようだな。これなんかどうだ……!?」

 バイオでハザードな依頼を選んだところ、一瞬異様な殺気が背筋を貫く。なんだ、この圧は……? 依頼票を取って振り返ると、特に殺気を放っている人物はいない。気のせいか?

「ぜひその依頼にしましょう! 神官としては、不浄の者は放っておけませんので!」

 やたら、にこやかなフラン。まあアンデッド退治は、神官が一番輝く仕事だしな。しかし、さっきの殺気 (駄洒落じゃないぞ)は、何だったのだろうか。むむむ。

この本を無料で読み続ける
コードをスキャンしてアプリをダウンロード

最新チャプター

  • 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!   第九十話 魔導剣士ロイ、暗夜王と相対する ―前編―

     あれから、約一ヶ月。「スティング・ホーネットだな! 逮捕状がでている!」 宿で朝食をいただいていると、突如官憲の旦那方が怒鳴り込んできた。 まったく身に覚えのない話だ。いや、待てよ?「こちとら、身に覚えのない話だな! あんたらの根城で、白黒ハッキリさせてやろう!」 パーティーメンバーに目配せ。……うん、察してくれたようでなにより。  ◆ ◆ ◆ 「手荒な真似をして済まなかった」 開口一番、本署で一階級上と思われる人が謝罪。「サンが、尻尾を掴んだんですね?」「うむ。今夜、六つの鐘で突入。君たちにも、手伝ってもらいたい」「そりゃ、願ってもないことで」 愛しのマイシスターと、やっと合流できる。こんな嬉しいことはない。「ほかの取り決めは?」「ない!」「なら、搦手攻めさせてくださいよ。俺ら、そういうの得意なんで」「むう? 構わないが」 こうして話はトントン拍子に進み、詰め所で夜まで待機することになった。 昼飯のスパゲッティー、まあまあだったな。宿の食いたかったなあ。まあ、ただ飯に贅沢言えんか。 そして、六つの鐘。 夜の帷が降りようとする中、出撃準備を進める。「おい、スティング・ホーネット! どこへ行く!?」「搦手から攻めるって言いましたよね! あとで合流します!」 言うが早いか、さっさと下水道の入口に立つ。 紙を一枚落とすと、賦術火炎刃をかける。紙にかけちゃいけないという決まりはない。 すると、地下道がメラメラと燃え始めた。 下水道には、可燃性のガスが溜まっている。それを利用させてもらった。 幹部は、下水道から逃げるはずだ。それを防がせてもらう。「官憲と合流するぞ!」 踵を返し、突入地点へ!  ◆ ◆ ◆  大捕物が始まっていた。盗賊団は軽装の者が多いが、重装の者もいる。「賦術火炎刃!」 今度は正真正銘、武器にかける。「超力賦活草!」 二大強化魔法がかかった! パワーみなぎる!「サン! どこだサン!」 群衆の中に突入し、最愛の義妹の名を呼ぶ。ロイドさん、あなたの気持ち、ちょっとわかるよ。心眼は持てないけどね! 敵を斬り伏せながら、パティを先頭に突き進んで行く。パティは小剣だ。この大乱戦では、長槍は役に立たない。

  • 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!   第八十九話 盗賊少女サン、孤独な闘いをする

     視点は、ロイからサンへ移る。 陰気なスラムを、用心深く歩く。 死体の髪の毛を抜いてカツラにしようとしてる痩せこけたババアなど視界に映り、気が滅入る。兄貴に出会わなかったら、オレもずっとこの世界の住人だったものな。 目当ての建物に着くと、階段を降りる。いかにも、盗賊たちの住処という感じだ。 こんこん、ここここんと、独特のリズムでノック。「何の用だ」 男の声が返ってくる。「最近景気悪くてよ。景気いい話はないかい?」「よそをあたりな」「じゃあ、三日後にまた来る」 そう合言葉を言うと、ドアが静かに開いた。「なんだ、ちっこいの」「ちょいと仕事したいんで、お見知りおきをってね」 番人に、そう返す。「金は?」 奥まった座にかけている人相の悪い男が言う。「これでいいすか?」 小袋を取り出すと、じゃらりと音がなる。「数えろ」「へい。ひい、ふう、みい……きっちり、金貨十枚」「まァまァだな。よし、こっちに来い」 まずは、第一関門クリア。ここから、ヤクの売人に、ありつけるかどうか……。  ◆ ◆ ◆  まず、スリの下っ端として活動することになった。 アテが外れたが、ここからだ。 裕福そうな奴がいたら、ちょいと頂戴する。兄貴と出会うまで、毎日やってたこと。 心が痛むかっていったら、今じゃ痛むけど、ギルドの信頼を得ないといけない。 今は、耐え忍ぶとき……。  ◆ ◆ ◆  ある日、吉報が舞い込んだ。ヤクの売人が大量検挙されたらしい。 しかし、ギルドとしてもヤクはデカいシノギ。はいそうですか、とやめるわけがない。 ギルドにとっては幸運、官憲にとっては不運なことに、幹部までは捜査の手が及ばなかったので、ヤクの売買は継続。穴埋め人員に、ギルドにとってはどうなってもいい、オレら下っ端が配属された。「クスリを……クスリをくれ! 銀貨十……いや、十二枚出す! 駄目なら十三枚だ!」 暗がりに立っていると、男がヨロヨロ近づいてきた。これは……! 内通者と取り決めていた符丁。十、十二、十三。「オレが売人に見えるのか? 男娼のほうが、まだ見えるだろ?」 こちらも符丁で返す。「あんた、クスリの匂いがするんだなあ……。なあ、頼むよ」 これも符丁。官憲の旦那、あんたいい役者になれるぜ。「……金貨で一枚だ」「金貨一枚! 無理だ!」「じゃあ

  • 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!   第八十八話 魔導剣士ロイ、心配する

     重い沈黙が続いている。 例の依頼票を手に、官憲の窓口にやってきたわけだが、「では、どうすればいいか」で止まってしまった。「我々は、潜入捜査のプロではありません。手法を共有していただかないと」「それは……」 無茶な要求だというのはわかる。官憲のノウハウをばらせと言っているのに等しい。 困ったな。せっかく高まった士気が、萎えてしまうではないか。「兄貴。平行線っす。オレがやってみるっすよ」「サン! 駄目だ、お前だけ危ない目に合わせるわけには」「蛇の道は蛇っていうっすよね。オレが適任だし、言っちゃなんだけど、頭数が多くても邪魔っす」 サン……。「昨日はああ言ったけど、兄貴の気持ちわかるっす。放置してていいもんじゃないっす」「……危ないと思ったら、すぐに逃げろよ」 強い意志を秘めた瞳に、そう告げるしかなかった。もともとは、俺が言い出したことなのに。「官憲の旦那。この国で、おとり捜査はアリっすか?」「あ、ああ」「なら、やりよーはあるっすね……」 考え込む義妹。 やっぱりやめよう。そう言いたいのを、ぐっと飲み込む。言い出しっぺの俺がそんなフラフラした態度じゃ、かえってサンの決意に失礼だ。「旦那。オレを盗賊ギルドに入ってるやつと同じ房にブチ込んでくれっす。そこから、ツテを作るっす」「なっ……!」 一同絶句。「あと、内部に潜入者がいるはずっすね? その人のことを……」 ポンポン段取りを決めていく。それに対し、唇を強く噛むしかできることがなかった。 昨日のヤク中女の顔が脳裏に蘇る。麻薬の蔓延を放っておいていいものではない。しかし、だからといって、サンだけを危険な目に合わせていいのか? 確かに、盗賊のイロハを知るのはサンだけだ。俺らがいても邪魔なだけというのもわかる。だが……。「わかった。来てくれ」 懊悩している間に、サンと官憲の間で話がついてしまった。「サン!」 官憲とともに立ち去る義妹に、思わず声をかける。「あの、その……。気をつけろよ!」「もちろんっす!」 にかっと微笑んでサムズアップする彼女。嗚呼……。 二人が見えなくなると、すっかりぬるくなった紅茶を、震える手で口に運ぶ。 せめて、いや、絶対に無事戻ってきてくれ!  ◆ ◆ ◆  視点はロイからサンに移る。

  • 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!   第八十七話 魔導剣士ロイ、巨大鹿と戦う

     早朝、依頼票を見に行く。ベル嬢の依頼があるが、ついでにこなせるものがあるなら、こなしておきたい。 ……? 麻薬密売組織の壊滅? 穏やかじゃないな。依頼人は官憲。おいおい、冒険者に頼るとか大丈夫か?「うっへ」 変な声を出すサン。「盗賊ギルドのシノギっすよ、これ。ルンドンベアにも多少出回ってるらしいっすけどね」「この依頼、受けたいのか?」「むしろ、関わり合いになりたくないっすね。命がいくらあっても足りないっす」 何かと前向きなサンが、この様子とは。かなり、アンタッチャブルな案件のようだな。 とりあえず、これは置いといて……。むむ? 巨大鹿狩りとな?「これ、どうだろう?」 農作物に、かなり被害が出ているらしい。「いいのではないでしょうか」 フランがまず快諾。アンデッド退治が混入してなくてよかった。 ほかの皆も、異存なさそうだ。  ◆ ◆ ◆  依頼人から正式に依頼を受け、森の中を、慎重に風下になるように進む。枯れ枝なども、踏まないように注意。皆には、飛び道具を配ってある。 聞くところによると、身の丈四メートルとか。厄介だなあ。 先行していたサンが、静止の合図を出す。……いた! たしかにでけえ! さらに慎重にスニーキングして、射程距離まで近づく。 一斉射! 命中! 的、でかいもんな! 雄叫びを上げる鹿。逃げ出すので、強重結縛糸をお見舞いする。自重で、動けなくなるはずだ!「いくぞ!」 クコから超力賦活草をもらい、接近戦に突入! 鹿も、角や蹄で応戦してくる!「包囲するぞ!」 五方向から取り囲む! ちなみに賦術火炎刃を使わないのは、肉が売れるのでは? と思ったからだ。依頼人いわく、いい果物をたらふく食ってるらしいしな! ナンシアの拳! サンのダガー! パティのショートソード! フランのモーニングスター! そして、俺の魔剣が五方向から襲いかかる!「角と後ろ足に気をつけろよ!」 これだけのデカブツの攻撃、食らったらえらいことだ!「盾を! ボクが囮になります!」「信じるぞ!」 ベルトポーチから盾を渡すと、鹿の攻撃をガッツリ受け止める。さすが、ハムロータ兄貴のチョップを受け止めただけはあるな! くそ! 脚の腱を切りたいが、めちゃくちゃに暴れ

  • 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!   第八十六話 魔導剣士ロイ、西方の地タリアに赴く

     新たな得意先となった、セイブル商会。 我々の助けもあって経営を立て直しつつあり、今日は茶に招かれている。 のだが。「犬を飼われたのですか?」 デカくて黒い犬が、舌を出しながら近づいてきた。 ら、腰をカクカクと振ってくるではないか!「おい、やめてくれ! その、人馴れしてますね」「ええ。『雌犬』なのに、こうして殿方に腰を振ってしまうのです」 なんか今、「ビッチ」のところ強調しなかった!?「これ、マルコ。おすわり」 主人の命令には忠実なようで、すとんと座す。「お茶が入りました」 着席すると、幼さの残るメイドが、茶を配膳してくれる。 口に含むと、芳醇な香りが鼻腔を満たす。この間より良い茶葉のようだ。経営立て直しは伊達じゃないということか。「そういえば、彼女はなんというお名前で?」 メイドが立ち去ったので、なんとなしに尋ねてみた。「彼女ではありませんわ、彼はユコといいます」「はい? 彼?」 思わず、間の抜けた返しをしてしまう。「はい。女装させてますの」 ぽかーん。「ええと、本人の意志で?」「私との合意の上でですわ」 なんというか……。ベルさん、性癖が歪んでらっしゃらない? 彼女、もとい彼がかいがいしく働いているところを見るが、少女にしか見えんなあ。「ところで、今日皆様をお茶に誘ったのは、商談も込みでですの」「と、申しますと」「西方のタリア国で、珍しい魔物が現れるという噂を耳にしました。その素材を融通していただければと」 タリア。アハ=イシュケよりさらに西だなあ。「構いませんが、結構な長旅になります。お時間と、その、路銀を融通していただけますと」「アハ=イシュケまではテレポーターを使って構いません。そこから先の馬車代もお出ししますわ」 そりゃ、ありがたい。「珍しい魔物とのことですが、特徴はございますか?」「こちらに、ざっと」 メモを渡してくるので、拝見。……ラドニー並みに、もやっとした情報だなあ。「この情報では、確約はできかねますが」「その際は、なにか適当な魔物の素材をお願いします。西方産というだけで、それなりに価値がありますので」 ふむ。「わかりました、ではこの条件で」 握手を交わす。西方かあ、見聞を広めるチャンスだな!  ◆ ◆ ◆  そして、つつがなく到着したタリア。ここでも、

  • 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!   第八十五話 魔導剣士ロイ、機転を利かすがグダグダになる

    「キマイラは炎を吐く! 気をつけろよ! 雷王……」「待ってください!」 先制攻撃をしようとした刹那、背後から声がかかる。位置的に、魔獣使いの女性だろう。「チャッピーはいうことを聞く子なんです! 殺さないでください!」 チャッピーってキマイラのことか。無駄に可愛い名前だな。いや、そんなことより。「無茶言わんでください! あなた、襲われたばかりでしょう!」「でも!」 困ったな。キマイラの生け捕りなんてできるのか?「確約はできませんよ!」 やるだけやってみようの世界だな。「強重結縛糸!」 まずは、飛行能力と機動力を封じさせてもらう!「ナンシア! 挟み撃ちにするぞ!」「了解!」 とはいっても、キマイラの頭は三つある。挟み撃ちが有効なのか不明だが。 まずは一番たちが悪い、竜の頭から攻略だ!「ボクも加わります!」 パティの声とともに、がしゃんと鎧の音が鳴り響く。「武器は!?」「ポールを手に入れました! 槍代わりにします!」「助かる!」 これで三対一。いや、頭数なら三対三か。「龍の頭は、パティに任せた! いくぞ!」 挨拶代わりに、炎のブレスがきた! これは、パティのポールで挑発し、意識をそちらに向けてもらう。ナンシアが、上手いことヤギの頭をホールドした! ライオン頭が、咆哮を上げる! ん? なんか今、違和感が……?「クコ! キマイラに命活癒術草だ!」「はい?」 突飛な指示に、変な声を出す彼女。「キマイラに命活癒術草だ! いいからやってくれ!」「ええ……? よくわからないですけど! 命活癒術草!」 キマイラの体を、淡い光が包む。……と、キマイラが大人しくなった。「なんですと!? どういうことですか!」 驚くクコ。「あいつな、虫歯だったんだ。ちらっと見えた」 呆然とする一同。「あとは、私が」 魔獣使いの女性が、キマイラを檻に誘導する。 やれやれだな。  ◆ ◆ ◆ 「いやあ、実にお見事! これはこれで、彼氏の格好の良いところが見れた、充実したデエトだな!」 クッコロさんが、拍手で迎えてくれる。「いえ、それほどのことは」「前も言ったが、デエトなのにその口調はないだろう」「あ、あ

続きを読む
無料で面白い小説を探して読んでみましょう
GoodNovel アプリで人気小説に無料で!お好きな本をダウンロードして、いつでもどこでも読みましょう!
アプリで無料で本を読む
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status